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生き物たち

イノシシ

イノシシはイノシシ科に属する哺乳類で、体長は1〜1.5メートルほど。全身を硬い剛毛で覆われ、力強い体つきと突き出た牙が特徴です。日本各地の山林に生息し、雑食性で植物の根、果実、小動物などを食べます。嗅覚が非常に優れており、食べ物を探す際には鼻で地面を掘り起こすこともあります。性格は警戒心が強く、子を守る際には攻撃的になることもあります。古くから日本の自然や文化の中で身近な存在として知られています。境内地でも早朝などまだ暗い時間帯に遭遇することがあります。

アナグマ

アナグマはイタチ科に属する哺乳類で、体長は約40〜60cm。ずんぐりとした体形で、顔にある黒と白の縞模様が特徴です。日本各地の山林や雑木林に生息し、夜行性で昆虫、果実、小動物などを食べます。地中に巣穴を掘り、そこで生活するため「穴熊」と呼ばれています。冬は活動が鈍くなりますが、冬眠はせず、ときおり外に出て活動します。おとなしく警戒心が強いため、姿を見る機会は少ないですが、自然豊かな場所に生息する動物です。

タヌキ

タヌキはイヌ科に属する哺乳類で、体長は約50〜60cm。灰褐色の毛に覆われ、丸い体つきと黒い顔の模様が特徴です。日本全国に広く分布し、山林だけでなく人里にも現れます。雑食性で果実や昆虫、小動物などを食べ、夜行性のため主に夜間に活動します。冬眠はせず、寒い時期には活動が鈍くなる程度です。昔話や民話にも登場し、人に化ける動物として知られるなど、日本文化にも深く根付いた動物です。

シロサギ

全身純白の優雅な水鳥で、河川や湖沼、湿地、田んぼなどに生息し、長い首と細い嘴で魚や甲殻類を静かに捕らえます。夏の繁殖期には葦原や樹上に大きな巣を作り、2~4個の卵を産んで抱卵や給餌を行い、ヒナを育てます。日本ではアオサギと並ぶ代表的なサギ類とされ、羽を広げた姿の美しさから観察者を魅了し、水辺の環境健康を示す指標ともなっています。境内地でも金龍湖や神饌田の周辺で静かに佇むシロサギの姿を見かけることがあります。

トビ(鳶)はタカ科に属する中型の猛禽類で、全長は約60cm。茶褐色の体と、飛行時に見えるV字型の尾羽が特徴です。日本全国に広く分布し、海岸や山間部、都市部でも見られます。空中をゆったりと旋回しながら獲物を探す姿が印象的です。主に魚や小動物、時には人の残した食べ物も食べるため、環境適応力が高い鳥として知られています。鳴き声は「ピーヒョロロ」と特徴的で、昔話や詩にも登場する身近な猛禽です。

ハトは首すじに赤紫色の光沢を持つ中型の鳥で、都市部から田園まで広く生息します。種子や果実、残飯を雑食し、人間環境に適応。年中繁殖でき、軒下や樹上のくぼみに簡素な巣を作り、通常2個の卵を産んで抱卵から育雛まで雌雄で担い、「鳩乳」と呼ばれる分泌物でヒナを育てます。伝書鳩としての利用や平和の象徴としても親しまれています。


カラス

全身が光沢のある黒い羽毛に包まれた賢い鳥で、都市部から山林まで幅広く暮らしています。雑食性で、昆虫や果実、残飯をあさり、硬い殻を石で割るなど器用な行動を見せるため「街の清掃員」とも例えられます。繁殖期には高い木や建物の隙間にしっかりとした巣を作り、3~6個の卵を産んで雌雄共同で抱卵・育雛し、独特の鳴き声で仲間との連携も取ります。カラスの存在は環境の変化を敏感に示す指標とも言われます。境内地でも、カラスが穏やかに佇んでいる姿を目にすることができます。

カルガモ

カルガモは、くちばしの基部に黄色と黒のまだら模様が入る中型のカモで、河川や池、田んぼなどの水辺に群れで現れます。雑食性で藻類や水草、小魚、昆虫などをくちばしでこそげ取るように採食し、その仕草はまるで水面をつまむ金のスプーンのように繊細です。春から夏にかけては岸辺の草むらに浅い皿状の巣を作り、10~12個の卵を産んで抱卵・育雛を行い、ヒナは孵化後すぐ泳ぎ出します。その穏やかな姿は里山の風景によく溶け込み、観察者に安らぎを与えてくれます。境内地でも金龍湖や神饌田で優雅に泳いでいる姿を目にすることができます。

ヤマガラ

ヤマガラはスズメ目シジュウカラ科の小鳥で、全長約14cm。黒、白、赤茶色が混ざった羽色が特徴的で、特に赤茶色の腹部が目を引きます。山地や雑木林に生息し、日本各地で見られます。木の実や虫を食べ、秋には木の実を土に埋めて貯蔵する習性もあります。人に慣れやすく、エサ台にもよく訪れるため、観察しやすい鳥として人気があります。明るく澄んだ鳴き声も魅力で、身近な自然の中で親しまれている存在です。

メジロ

メジロはスズメ目メジロ科に属する小型の鳥で、体長は約12cm。鮮やかな黄緑色の羽と、目の周囲にある白いリング模様が特徴です。主に花の蜜や果実を食べ、春には梅や桜の花を訪れる姿がよく見られます。人家の庭先にも現れ、親しみのある存在です。さえずりは澄んだ音色で、季節の訪れを告げる鳥としても知られています。群れで行動することが多く、その可愛らしい姿と鳴き声で多くの人に親しまれています。

シロハラ

シロハラはツグミ科の冬鳥で、全長約25cm。名前の通り、腹部が白く、背は灰褐色をしています。冬になると日本各地の林や公園に姿を見せ、地上を歩いて落ち葉をかき分けながら昆虫やミミズを探す姿が見られます。警戒心が強く、すぐに飛び立つこともありますが、都市部でも観察される身近な鳥です。透き通るようなさえずりは春先に聞かれることがあり、冬の訪れを知らせる存在として親しまれています。

ホオジロ

ホオジロはスズメ目ホオジロ科の小鳥で、全長は約16cm。雄の顔には白と黒の縞模様があり、頬が白いことからこの名がつきました。日本全国の草原や農地、林縁などに広く分布し、地上で採食する姿がよく見られます。春から初夏にかけては「チッチッ、チュンチュン」と特徴あるさえずりで縄張りを主張します。つがいで子育てをし、秋から冬には群れを作って生活することもあります。野鳥観察でも親しまれている身近な鳥です。

ミヤマカラスアゲハ

ミヤマカラスアゲハは、深い山林や渓流沿いを優雅に舞う大型のアゲハチョウで、翅は艶やかな漆黒を基調に、後翅の縁に並ぶ青い斑紋が夜空にきらめく星々のように美しく映えます。幼虫はミカン科の樹木を餌とし、若い葉を丸く巻いて巣を作る習性があり、成虫になると花の蜜を探して飛び回り、その飛翔はまるで風を切って走る馬のように力強く見えます。5月から9月にかけての活動期には、新緑の中で絶え間なく羽ばたき、里山の豊かな自然を象徴する存在として親しまれています。

モンキーアゲハ

モンキアゲハは、翅に鮮やかなエメラルドグリーンの帯を持つ中型のアゲハチョウで、黒地に浮かぶ緑色のラインがまるで風を切るエメラルドの矢のように美しく映えます。山地の渓流沿いや林縁を好み、幼虫はクスノキやヤブニッケイなどクスノキ科の葉を食草とし、葉裏に丸まった繭の中でさなぎとなります。成虫は春から秋にかけて何度も羽化し、ミカン科やクチナシ、ムラサキシキブの花の蜜を求めて優雅に飛び交います。その飛翔は山間の清涼な風を運ぶかのようで、里山の自然を象徴する存在として親しまれています。

シオカラトンボ

シオカラトンボは、淡い藍色を帯びた優雅な姿が印象的なトンボです。主に川や池、田んぼの水辺を好み、成熟した雄は全身が粉を吹いたように青白く見え、雌はやや黄みを帯びた色合いを呈します。産卵の際には水面近くを静かにホバリングしながら水草に卵を産み付け、その後孵化したヤゴは水中で成長を遂げます。夏の陽光を受けて翅を煌めかせるその姿は、水辺の涼やかな風情を一層引き立ててくれます。境内地では神饌田付近に生息しています。

アブラゼミ

アブラゼミは、日本の夏を代表する大型のセミで、黄緑色の体に黒い翅脈がくっきりと浮かび上がっています。幼虫は地下で樹根の樹液を吸い、数年を過ごした後に地上へ出て羽化します。成虫になると数週間の命を燃やすように「ジージー」と響き渡る鳴き声を響かせ、夏の風物詩となっています。都市部から山間まで幅広く見られ、とりわけ力強い声量はまるで夏の太陽のように熱烈です。境内地でもアブラゼミの大合唱が鳴り響いています。

アメンボ

アメンボは細長い体と長い脚を持ち、水面張力を利用してまるで氷の上をスケートするように水面を滑走する小型の昆虫です。水面に生えるヨシやアシの葉に産卵し、孵化した幼虫は水中でヤゴとして成長した後、羽化して再び水面へと舞い戻ります。透明感のある翅をゆったりと羽ばたかせる姿は、水辺の静かな風景にそっと彩りを添え、観察する人に涼やかな印象を与えてくれます。

ショウリョウバッタ

ショウリョウバッタは、全長約4~5センチの細身で緑色の体を持つバッタです。田んぼや草原でよく見られ、強力な後脚でまるで小さなトランポリンのように高く跳び、葉をかじって食べます。幼虫は複数回脱皮を繰り返しながら成長し、夏の終わりには大人の姿に羽化して「チョンチョン」と翅をこすり合わせるような鳴き声を響かせます。その声は秋の訪れを告げる風物詩とされ、農作物への食害防止策としても観察される重要な存在です。

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