
造化の三神について

「天之御中主大神」「高御産巣日神」「神産巣日神」の三柱の神は、『古事記』の神話の中で、天地開闢(かいびゃく)のときに万物生成化育の根源となった神で、“造化の三神”とも呼ばれます。これらの三神は、名前は“日本的”に感じられても、宇宙普遍の原理を日本的に表現したものです。
「天之御中主大神」は“宇宙の本源神”であり“唯一絶対の神”のことです。キリスト教、仏教、イスラームなど、正しい信仰を伝える世界の宗教は、この“宇宙の本源神”が世界各地の多様な文化や伝統の中に生きる人々を救済するために、それぞれの文化や伝統、時代の要請に応じて顕れたものです。
「高御産巣日神」「神産巣日神」は、神の固有名詞ではなく、唯一絶対神の御徳の一つである陰と陽の“ムスビの働き”を神名によって表現したものです。ムスビとは、本来一つのものが陰と陽の二つの働きに分かれ、それらが再び結ばれることで「新価値」を生み出す働きのことです。
“ムスビの働き”は自然界のいたるところに
高御産巣日、神産巣日の二神は、私たちから離れた遠い存在ではありません。たとえば私たちが性を異にして生まれ、子供を産み育て、周りの人や自然と交わり、働き、学び、生活することも、“ムスビの働き”の一つです。また、自然界では、植物に花が咲くと、蜜を求めて蜂や蝶が訪れて受粉し、やがて結実した実は、他の虫や鳥や獣たちの栄養源となって子孫を殖やす助けになるなど、一見“異質”と見える多種の生物が、相互に与え合いながら繁栄しています。これも“ムスビの働き”です。この ような与え合い、生かし合う関係は、人々の生活の中に、そして自然界のいたるところに満ちています。そして、この“ムスビの働き”を通して、地上に無限の「新価値」が生み出されているのです。
生長の家の御神札神霊符の祀り方の動画
三社造りの場合
中央のお社には、「天之御中主大神」のお札を配置します。向かって右側の社殿には「高御産巣日神」、左側の社殿には「神産巣日神」のお札を納めます。祭祀の際は、それぞれの社殿の扉を開けて神々の名が一部でも見えるようにします。すでに天照大御神や住吉大神のお札を納めている場合は、中央の社殿に、手前から天之御中主大神、天照大御神、住吉大神の札の順位で納めるとよいでしょう。氏神をお祀りする場合は、左側の社殿に、手前から神産巣日神、氏神の 順位で納めるとよいでしょう。
一社造りの場合
お社の中には、「天之御中主大神」のお札を納めます。「高御産巣日神」「神産巣日神」の神霊符は神々の霊妙な“ムスビの働き”を日々意識することが大切なので、目に見えるようにお社の左右に配置します。すでに天照大御神や住吉大神のお札をお祀りしている場合は、神殿の中に、手前から天之御中主大神、天照大御神、住吉大神の順位で納めるとよいでしょう。氏神をお祀りする場合は、一番奥に納めるとよいでしょう。
お社の外、左右にお祀りする神霊符(「高御産巣日神」、「神産巣日神」)は、「お札立て」を利用するなどして、向かって右に「高御産巣日神」、向かって左に「神産巣日神」のお札をお祀りします。
お社の御扉が閉じられているときは、外に祀られている神霊符(「高御産巣日神」、「神産巣日神」)のお札は裏返し(神名を見えないよう)にしておきます。
“造化の三神”を神棚に祀る方法
◇ お社の御簾は上げましょう。
礼拝の際に神霊符の神名を拝して、“ムスビの働き”を意識するためです。
◇ 神鏡は置きません。
神鏡を置くことで「天之御中主大神」の神名が見えにくくなり、唯一絶対神の御徳を意識する力が限定されるおそれがありますので、神棚には置きません。
◇ サカキ(あるいは他の常緑樹)を飾りましょう。
神棚の左右にはサカキなどの常緑樹を飾り、自然とのつながりを意識しましょう。サカキが生育していない地域の場合は、ヒサカキやスギ、モミ、カシ、マツ、シキミなど、それぞれの地域に育つ常緑樹を使いましょう。サカキ(あるいは他の常緑樹)は、新鮮な青々としたものを供えましょう。
これは「神霊に捧げる」という意味に加えて、新鮮な生き生きとした葉を私たちが見ることによって、生命の造化の働きに心を振り向けるためです。毎日水を換え、葉が変色する前に新しいものと交換しましょう。
◇ 神饌をお供えしましょう。
毎日の神饌は、米・塩・水です。神饌をお供えして、自然の恵みに感謝するとともに自然界の“ムスビの働き”を意識しましょう。米・塩・水の他に酒、旬の野菜、果物などもよいでしょう。
◇ 香を焚いてもいいでしょう。
その際は、祈りと感謝の気持が、香の煙と共に神の御許に届くことを黙念します。
今なぜ“造化の三神”を祭祀するのか
ところがその一方、今日の世界では、「地球温暖化」による気候変動が原因となって、世界各地で熱波、干ばつ、台風の凶暴化、水害などが起こり、深刻な自然災害も増えています。気候が乱れれば不作や不漁も増える中、宗教や民族が対立して、希少資源や土地をめぐって新たな紛争や難民問題が生じています。これらの背後には、物質的豊かさを求めて自然界から奪い続けてきた、人類の迷いがあります。その迷いの一つには、人間が宗教、人種、国籍、思想、文化などの表面的な違いによって“自”と“他”とを分離し、差別する考えがあります。“ムスビの働き”は、これらの迷いを去り、神(宗教)と人間、自然と人間、そして人間と人間とを分離・対立させる迷いを吹き払い、多様性の中から新価値を創造し、相互協力して喜びに満ちた世界を実現するために必須のものです。
“造化の三神”の祀り方
生長の家総本山でお分けしている「天之御中主大神」「高御産巣日神」「神産巣日神」の三柱の神霊符(お札)は、総本山の神官が一枚一枚真心を込めて神名を墨書しています。
各家庭で“造化の三神”をお祀りする場合は、神霊符の神名が見えるように置いて、日々の礼拝の際、唯一絶対神の生々化育の御力が霊妙なムスビの働きとしてこの世界に現れていることをはっきりと意識するように努めましょう。これにより、唯一絶対神のご加護が陰陽二神のお導きを通して感得され、皆さんの信仰と生活の両面で調和が実現し、新価値が生まれ、地上に平和で豊かな世界が実現します。
神霊符の位置は、基本的には、「天之御中主大神」を中央に、向かって右に「高御産巣日神」、左に「神産巣日神」を配置します。お社に納める場合や、新たに神棚を設けてお社を置く場合は、次の方法を参考にしてください。
神棚での祀り方
1.おまつりする場所
家庭に神霊符をまつり、家族が日々“造化の三神”を礼拝することは、日常生活における大切な行事です。
一般的に神棚は、清らかで明るく、静かで高いところに、南向き、あるいは東向きに設置するのがよいでしょう。これに加えて、“造化の三神”の祭祀に当たっては、私たちが神名を見て、宇宙の中心である「天之御中主大神」をはっきり意識し、さらに「高御産巣日神」「神産巣日神」の両神のお名前をその左右に確認することで、陰陽のムスビの働きが宇宙の造化、私たちの生活の原動力であることを意識します。そこで、神霊符をおまつりする場所は、“造化の三神”を視覚的に確認でき、家族が親しみを込めて毎日礼拝できる場所を第一に考えるとよいでしょう。
2.神棚の高さ
神棚は、神霊符の神名が一部でも見える高さに設置して礼拝することをおすすめします。また、神饌をお供えするためには、あまり高い位置は避けましょう。脚立に登ってお供えをすることになるので、危険をともなうだけでなく、お供えをすることがおっくうになりがちだからです。しかし、礼拝の時に目より下にならずに、お社に手を挙げて届くくらいの位置が理想的です。和室には木製の釣り棚を作って、そこにお社を置くという形式が普通です。洋間や賃貸の部屋ではやたらと釘を打つのははばかられます。その場合は、タンスや飾り棚、食器棚の上などに棚板を置いたり、または白い布を敷いて、その上にお社を置くのがよいでしょう。
毎日の礼拝について
1.朝(一日のはじまり)に拝礼することを基本とします。
神道形式に親しんでいる人は、天津祝詞を唱えた後に聖経または讃歌を朗誦すると良いでしょう。
2.朝に加えて、夕方(一日のおわり)に礼拝しても良いでしょう。
この場合、夕方の拝礼では「聖経あるいは讃歌読誦」は省略可能です。一日の内に、朝と夕の2回拝礼をする場合にも、朝の拝礼時に撤饌(神饌を下げる)をして、一度御扉を閉じ、夕方の拝礼時にも献饌することをお薦めします。御扉を日中にずっと開けておくと、神殿内にホコリが入るうえ、心のけじめがつきにくいからです。
また、神饌は、祭祀の後に引き上げて食することをお薦めします。これには「神に捧げたのと同じものをいただく」という「共食」の意味があり、神との一体感が深まります。
なお、菜園のある人は新しい収穫物を、菜園をもたない人は新しい到来物などの一部を添えることで、「共食」の実感を深めることができます。
お社がない場合
お社がない場合は、タンスや本棚の上などを整えて清浄な敷物を敷き、上記の順番に従って神霊符をお祀りしましょう。大切なのはお祀りする“心”ですから、できるところから工夫してみてください。
新たにお社を購入する場合
お社を新たに購入する場合には、“三社造り”のような、それぞれの神霊符の神名が見えるお社をおすすめします。お社を置く場所によっては、“一社造り”や屋根を除いた箱宮形もよいでしょう。神霊符のサイズは「天之御中主大神」のお札が大小2種類、「高御産巣日神」「神産巣日神」のお札は1種類です。お社の寸法を確認して購入してください。
総本山の社務所でもご購入いただけます。→ 詳しくはこちら