
春の花木

ソメイヨシノ
ソメイヨシノは、日本を代表する桜の品種で、春に淡いピンク色の花を咲かせます。江戸時代末期、東京の染井村(現在の豊島区駒込)で、エドヒガンとオオシマザクラの交配により生まれました。その美しさと成長の早さから、明治以降、日本全国に広まりました。ソメイヨシノはクローンで増やされるため、同じ環境下では一斉に開花し、満開時には木全体が花で覆われる華やかな景観を楽しめます。4月には境内地の全域で見ることができます。

八重桜
八重桜は、花弁が6枚以上重なる八重咲きの桜の総称で、品種によっては100枚以上の花弁を持つものもあります。多くの品種は、野生のオオシマザクラやヤマザクラなどの交配によって生まれたサトザクラ群に属し、牡丹桜とも呼ばれます。開花時期は4月中旬から下旬で、ソメイヨシノよりも遅れて咲きます。練成道場に向かう参道沿いなどに見ることができます。

枝垂れ桜
枝垂れ桜は、枝が垂れ下がる特徴を持つ桜の総称で、特にエドヒガン系統の枝垂れ性品種を指します。糸のように細い枝が垂れ下がる姿が特徴的で、その美しさから「糸桜」や「大糸桜」とも呼ばれます。花色は淡紅色で、一重咲きの小輪が3月下旬に開花します。金龍湖湖畔に見ることができます。

ツツジ
ツツジは、春から初夏にかけて赤やピンク、白などの花を咲かせる低木で、日本各地で親しまれています。花言葉は「節度」「慎み」で、色によって「初恋」や「恋の喜び」などの意味も持ちます。サツキとは開花時期や葉の大きさで区別できます。境内地全域に見ることができ、特に七つの燈台周囲は「花山」と呼ばれ、ツツジの鮮やかな花々が山並に彩りを添えます。

皐月(さつき)
サツキは、ツツジ科ツツジ属の常緑低木で、5月から6月にかけて開花します。名前の由来は、この時期に咲くことから「 皐月」と呼ばれるようになりました。花色は赤、ピンク、白、紫など多彩で、庭園や盆栽として親しまれています。主に奥津城周囲に見ることができます。

おがたま
オガタマノキ(招霊の木)は、日本固有のモクレン科の常緑高木で、神社の境内によく植えられています。その名は「招霊(おきたま)」が転じたものとされ、神聖な木とされています。早春に芳香を放つ小さな白い花を咲かせ、果実は赤い種子を持ちます。また、近縁種のカラタネオガタマ(唐種招霊)は中国原産で、バナナに似た香りの花を咲かせることで知られています。練成道場から顕斎殿に向かう途中の参道に見ることができます。

菖蒲(しょうぶ)
菖蒲は、5月から6月にかけて紫や青、白などの美しい花を咲かせます。花弁の模様が特徴的で、湿地や水辺に自生し、観賞用として庭園などでも栽培されています。花言葉は「優雅」「信頼」で、端午の節句には邪気を 払う植物として知られています。金龍湖周辺に見ることができます。

藤(ふじ)
藤は、マメ科フジ属のつる性落葉木本で、日本の固有種です。 4月下旬から5月上旬にかけて、長い花房を垂れ下げて咲きます。その花色は紫、白、ピンクなど多彩で、甘い香りを放ちます。特に、藤棚に咲く花房は美しく、多くの人々を魅了します。 境内地では、藤棚の家の中庭や金龍湖の近くにある藤棚でも、優雅で美しい花を見ることができます。

紫陽花(あじさい)
紫陽花は、梅雨の時期に青や紫、ピンクなどの花を咲かせる落葉低木です。花に見える部分は萼(がく)で、土壌の酸性度により花色が変化します。花言葉は「一家団欒」「移り気」などです。大鳥居付近や奥津城登り口などに見ることができます。

石楠花(しゃくなげ)
石楠花は、ツツジ科ツツジ属の常緑低木から高木で、春に豪華な花を咲かせることから「花木の女王」とも称されます。花色は赤、ピンク、紫、白、黄、オレンジなど多彩で、葉は厚みのある長楕円形で光沢があります。日本を含むアジア、北アメリカ東部、ヨーロッパなどに広く分布し、園芸品種は1,000種以上存在します。5月ごろ、顕斎殿左側の植え込みにシャクナゲ群生を見ることができます。

小手毬(こでまり)
小手鞠(コデマリ)は、バラ科シモツケ属の落葉低木で、春になると小さな白い花が手鞠のように集まって咲くことから、その名が付けられました。原産地は中国で、日本では庭木や生け垣として広く栽培されています。枝はアーチ状にしなり、花が咲くとその重みでさらにしなやかに垂れ下がります。花期は4月から5月で、満開時には枝全体が白い花で覆われる様子はとても美しいです。金龍湖周囲の植え込みに植えられています。

木蓮(もくれん)
木蓮は、春の訪れとともに美しい花を咲かせるモクレン科の落葉樹です。地域や品種によって差がありますが、およそ 2月から4月にかけて開花します。 その花姿は蓮の花を連想させることから「木蓮」と呼ばれています。花言葉には「自然への愛」「持続性」「崇高」などがあり、その高貴な姿と香りで多くの人々を魅了しています。 また、木蓮は恐竜が生きていた時代から存在していたとされ、その長い歴史も特筆すべき点です。